AI議事録のNottaがAIボイレコ&AIイヤホンを発表。会話における“第2の脳”となることを目指す
AI議事録サービス「Notta」を展開するNotta株式会社は、5月29日に事業戦略発表会を開催。AIボイスレコーダー「Notta Memo」の予約販売を6月15日より行うことを明らかにした。
9.9億円の資金調達でハードウェア展開など実施
都内で行われた事業戦略発表会には、Notta創業者のRyan Zhang氏とCOOの田村清人氏が登壇し、同社のこれまでの歩みを解説した。
同社は「会話から無限大の価値を発見」というビジョンのもと2020年に創業し、AI議事録サービス「Notta」をリリースすると、「AI要約」などの様々な機能を実装しながらサービスを拡張。2025年4月時点で全ユーザー数1000万人、国内ユーザー数230万人を突破するまでの成長を遂げたという。


Nottaに限らずAI議事録サービスは様々な企業が展開しており、田村氏は「AI議事録市場はとても熱い。2033年には年間3 - 4000億円の市場になると言われている」と説明。そんな中、NottaはITから建設、地方自治体まであらゆる業界で満遍なく採用されており、特にここ3年ほどは法人向け有料プランの伸長が目覚ましく、日経225銘柄のうち73%の企業で使われていると強みを語る。
こういった流れの中で、Mizuho Leaguer Investments、GSR Venturesなどのキャピタルを株主に迎えながら、新たに総額9億9000万円の資金調達を実施したことを発表。「ハードウェアエコシステム構築」「AIを中心としたソフトウェア開発の加速」「企業顧客向け支援体制の強化」に資金を使っていくと説明した。
この「ハードウェアエコシステム構築」の一環として、AIボイスレコーダー製品「Notta Memo」の発売を発表。あわせて現在クラウドファンディング中のAI音声認識技術搭載イヤホン「Zenchord 1」の紹介も改めて行われた。
Notta Memoは4基のMEMSマイクと1基の骨伝導マイクを搭載したカード型のAIボイスレコーダーで、価格は2万3500円(税込)。発売日は現時点で未定だが、先行して6月15日よりAmazonなどで予約受付を開始する格好となる。
ポイントとなるのが最大2000時間分の録音が可能なストレージを搭載し、スマホなどと接続しなくてもオフライン録音が可能なこと。本体は厚さ3.5mmの薄型設計で、付属の専用ケースにはマグネットが内蔵されているため、Magsafe対応iPhoneなどのスマホに装着することもできる。

もう一つのハードウェアであるZenchord 1は5月15日よりMakuakeにてクラウドファンディングが行われており、5月29日時点で達成率6000%を超える人気ぶりを見せている。Nottaの録音ができるイヤホンで、長時間でも快適に使えるようにと、ながら聴きのスタイルを採用。ケースにもマイクを搭載しており、イヤホンを装着せずともケースで録音が可能だ。


田村氏によると、Nottaユーザー全体の使用データを見ると、会議室などオフラインの現場での録音が全体の80%を占めているという。実際、製造工場など安全性の観点からWi-Fiが通っておらず、モバイル機器の持ち込みができない現場でのユースケースも多く、昨年末から「オフライン現場でさらに使いやすくするためには」を検討し始め、ハードウェアの開発に至ったとのこと。
Ryan氏は「我々はソフトウェアとハードウェアの両方を通じて、Nottaを会話における “第2の脳” となるエコシステムとして構築している」としつつ、「月次経常収益を現在の4倍に拡大」「業界特化型エージェント10種類以上のリリース」「ハードウェア連携AIエコシステムの完成」の3点を2027年までの目標としていると意気込みを語った。