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公開日 2025/06/02 00:00
鴻池賢三のホームシアターTips

ライフスタイルや好きなコンテンツに応じる “体験主導“ の機器選びを! ホームシアターでの「アンプ」の選び方

鴻池賢三

基礎編・アンプの種類や機能を解説


おうちで音楽や映画を楽しむシアターステムをつくるとき、要といわれるのがアンプ。アンプの本来の役割は、再生機器の微小な音声信号をスピーカーが駆動できる大電力まで増幅することです。


しかし、近年は音源のデジタル化やネットワーク化により、アンプは単なる増幅器ではなく、多機能性も求められるように。それに応じて、機能が追加される方向で進化しています。


たとえば、いま注目すべきはHDMI ARCに対応したステレオプリメインアンプでしょう。テレビでストリーミングコンテンツを再生し、HDMI ARCをつかってプリメインアンプからサウンドバーに接続、音質を強化するスタイルを選択するユーザーが増えています。


もちろん、サラウンド体験の品位を追求するならAVアンプが最適解なのは変わりません。AVアンプの導入やサラウンドスピーカーの設置は敷居が高く、けれどもサウンドバーでは物足りない、というユーザーはHDMI ARCに対応したステレオプリメインアンプに、シアタールームで本格的なサラウンド環境を構築する際はAVアンプに、など実現したいスタイルに合わせて注目してみるのがよいでしょう。



DENONのワイヤレスストリーミングアンプ「DENON HOME AMP」。ストリーミング再生に対応、HDMi ARC/eARCも搭載します。小型のボディで省スペースも両立


注目は機能性に秀でたHDMI ARC搭載プリメインアンプ!


ここで、製品としての「アンプ」にはいくつかの種類があることも解説しておきましょう。それぞれについてシチューエーションを挙げつつご紹介します。


1)AVアンプ
ホームシアターで要といえるコンポーネントです。多種多様なソース機器の接続と切替を担っています。AVアンプの特徴は、1台でサラウンド(マルチチャンネル)再生に対応できること。各種サラウンド音声フォーマットのデコードに対応、また複数のスピーカーを駆動するアンプを搭載しています。システムのハブとしても活用でき、ユーザーが簡単に使いこなすことができます。



国内ではJBL、DENON、MARANTZ、ONKYO、PIONEER、SONY、YAMAHAなどがおもな取り扱いブランド




AVプリアンプとパワーアンプを組み合わせて使用するハイエンド製品も



2)プリメインアンプ(ステレオ)
レコードプレーヤーやCDプレーヤーなどを接続してスピーカーを駆動したい場合、基本ともいえるのがこのプリメインアンプです。ステレオ入力に対応し、左右2chのスピーカーを駆動します。エントリーモデルからハイエンドモデルまで選択肢が広く、必要とする音質やパワーに応じて柔軟に製品を選ぶことができます。また、アンプの基本原理や入出力の規格は長らく変わっていないので、故障していなければ古い製品でも使用できるはずです。中古市場で高値取引される往年の名機を見つけてみるのもいいかもしれません。



HDMI ARCをはじめとするデジタル入出力を備えたりDAC搭載でプレーヤーの一部機能に対応したりと音質・価格帯・機能性にさまざまな選択肢が。画像はMARANTZ「MODEL 40n」の背面


3)プリアンプ/パワーアンプ(ステレオ)

プリメインアンプの、微小な信号を扱うプリアンプ部と、スピーカーを駆動するパワーアンプ部をそれぞれ独立させたものです。オーディオマニアの世界では、それぞれの役割に応じてコンポーネントを細かく分割することで、より高品位にする、という考え方があります。こうすると組み合わせの自由度、入れ替えの自由度も高くなります。プリアンプは良質なフォノイコライザーを搭載したり、近年ではデジタル入力に対応したりなど、多機能化も進んでいます。パワーアンプは2chステレオ用のほか、1chモノラルや、AVアンプとの組み合わせを想定した7chや11chといったマルチチャンネル対応製品も存在します。



セパレート型は再生したいコンテンツや視聴スタイルによって環境を構築できる自由度の高さも魅力。TEACの “Reference 500シリーズ” にラインナップされる「HA-507」は、デスクトップ用途ながらプリ出力も備えており、さまざまなマッチングを楽しめます


シアター&オーディオにおける「アンプ」の役割


そもそも「アンプ」とは英語「Amplifier(アンプリファイアー)」の略で、電気信号を増幅する機器に幅広く用いられる言葉です。


オーディオ関連ではおもに、プレーヤーなど再生ソース機器から出力された比較的微小なラインレベルの音声信号を、スピーカーで駆動できる大電流まで増幅する装置を指します。アナログレコードを再生する際に必要なフォノイコライザーも、カートリッジから得た超微小な音声信号をラインレベルまで増幅するので、広義ではアンプの一種といえます。


電力を増幅する素子は、真空管にはじまり、消費電力が少ないトランジスタへと展開。より増幅方式の効率がよく小型化にも適したデジタル(PWM)方式なども登場していますが、合理性ではなく “好きな音” を求めて、真空管を好む愛好家が存在するのもオーディオの面白さといえます。


オーディオメーカーで商品企画に携わった筆者はかねてから、大きくて重たいAVアンプは日本の一般家庭での導入には無理を感じていました。そうしたユーザーの要望を反映して行き着いた一つがHDMI ARC対応ステレオプリメインアンプであり、昨今のヒットでもそのニーズが裏付けられます。


これからのホームシアターは、機器ありきではなく、体験主導型となることで、さらに発展すると期待しています。



オーディオ・ビジュアル評論家の鴻池賢三氏。オーディオ・ビジュアル機器メーカーにて商品企画職、アメリカ・シリコンバレーのデジタル機器用ICを手掛けるベンチャー企業を経て独立。THX/ISF認定のホームシアターデザイナーとしても活躍中

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